![]() | ヴィヨンの妻 (新潮文庫) (1950/12) 太宰 治 商品詳細を見る |
新生への希望と、戦争を経験しても毫も変らぬ現実への絶望感との間を揺れ動きながら、命がけで新しい倫理を求めようとした晩年の文学的総決算ともいえる代表的短編集。家庭のエゴイズムを憎悪しつつ、新しい家庭への夢を文学へと完璧に昇華させた表題作、ほか『親友交歓』『トカトントン』『父』『母』『おさん』『家庭の幸福』絶筆『桜桃』、いずれも死の予感に彩られた作品である。
太宰自身を投影させた様な短編集。晩年の自殺行動を髣髴とさせる作品に共感できる部分は少ないですが、自己中で酒を飲んで借金をしてドロボーまでして浮気を繰り返しても明るくしなやかについていく妻。そんな、奥さんに少し憧れをいだいた今日この頃です。